1章 自分の延長線上にない人を理解するには


東播磨カウンセリング研究会総会対談 2018.4.29
「福祉の事例をこころと演技から理解する」

劇作家・演出家     中原和樹
東播磨カウンセリング研究会会長・心理カウンセラー いなまつゆか

心理カウンセラーのいなまつゆかが、役者をしている娘を通じて知り合った、劇作家・演出家の中原和樹さんと対談をしました。

中原さんは、箱庭療法に興味を持ってくださり、それを知ったいなまつが、東京に中原さんのワークショップを見学に行きました。その感性のすばらしさにうたれ、対談を希望したことから始まった企画です。

  • 最初から読む
  • 2章へ



  • い では、対談をはじめさせていただきます。よろしくお願いします。

    中 よろしくお願いします。

    い まず最初にお聴きしたいんですけども、最初に稲松真人さんに事例を作ってもらって、お渡して、何か思いましたか?

    中 そうですね。僕もこういう風な形で演劇にすること自体、今までなかったんで。

    い ええ。

    中 今までやっぱり、何か演劇にメッセージだったり、伝えたいものを伝えるために物語をどう作るかっていう考え方をしていたんですけど、

    い うん。

    中 今回の場合は、対談だったり、そのケースだったり、その人たちの人生だったり、こころにどういけるかっていう点で、短い脚本を書くっていうところが・・・まず、すごい・・・ハードルを感じました。はい(笑い)。

    い 難しいことですよね。

    中 いや、ほんとに。率直に言って、どこから始めればいいんだっていうのが、率直な感想です。

    い どこから始めたんですか?

    中 まずは、まあ会話を書いていくんですね、やっぱり演劇なんで。でも会話、言葉って、その人がその状況だったり、そのときの気持ちだったり、いろんなものの、ぼくは結果だと思ってるので、

    その結果に行き着くために、この人達はどういうことを感じて、どういう風に苦労して、今どういう経過を経てここにいるんだろうっていうことを考えるところから始めたんですけど。

    それにすさまじく時間がかかって(笑)しまったんですけど。そこから始めました。

    い なかなか出来上がるのがもう(はい)ぎりぎりで、

    中 そうなんです。はい、すみません(笑)。

    い いえいえいえ、怒ってはいないんですが(笑)。大丈夫なのかしら、いやあ、役者さん大変だな、この後セリフも覚えるんだ、みたいなことを思いました。そういう感じだったんですね。

    中 そうですね。

    い じゃあ、その状況や感情を探しに行くみたいな。

    中 そうですね。そこに行き着く、その瞬間に行き着くまでを、想像するというか、思いを馳せる。
    い ああ、そういう感情になるまでになんかあるだろうという。

    中 思いを馳せるというか。そこにすごい時間がかかりましたね。

    い そうなんですね。特にわたしがすごく思うのは、皆さん支援する方はそうだと思うんですけど、その人の身になろうと思うんですけど、高齢で女性じゃないですか。

    中 はいはい。

    い お若いし、性別も違うから、あの想像するにも、自分の延長線上にはないじゃないですか。
    中 そうですね。

    い そこは、難しかったですか?

    中 ああ、難しかったですね。なので、ちょっと、ネタばらし的な感じなんですが、実は、まあ名字しか本編中には出てこないんですが、僕の母親の名前をつけさせてもらっていて、

    い へええ。

    中 こっそり(うん)、やっぱり演劇をやるときの、僕がやっている方法論なんですけど、自分の延長にないものでも、たとえば、極論殺人者の役とか、できなくなってしまうけど、

    それだと、演劇の可能性がなくなっちゃうので、じゃあ、自分に少しでも、そことつながるような種って、僕は言っているんですけど(うん)、何かメインになるような、種がないかなって、すごく探すんですよね。で、やっぱそうすると、僕は両親とも今健在なんですけど、親父は実は80歳ぐらいで

    い おお?

    中 高齢出産なんですよ、僕長男なんですけど。

    い ふんふん、そうなんですね。

    中 なのでまあ、今も全然元気なんですけど、仮に、まあ、うちの親がそうなって、こういう事例に向かっていったらどうなのかなってのは、

    すごいまあ、きつい作業なんですけど、自分がきつい思いをしないと、やっぱりこの人たちの人生に到達できないなっていうのがあったので、そういう形で今回は、名前をつけるところから

    い ああ、お母さんの名前をつけるところから

    中 始まりました、実は。

    い 自分とのつながりポイントみたいなのを、見つけたんですね。

    中 ああ、そうです。そうですそうです。

    い それは、カウンセリングでもやっぱりあって、こう自分に引きつけて、ああ、ここは私にもある、共通部分だなっていうところをやっぱり探しにかかるんですね。

    もちろん、相手の方が、カウンセリングの場合は、そのままお話しになるので、さっきの劇のように。この方から出るものを感じるってこともするんですけど、

    でもその中でやっぱり物語をきくと、ああ自分にもそういうことあるなあ、みたいな、たとえば私は介護はしていないですけど、子育てで、子どもがいないと、そりゃちょっと楽になるな、みたいなものはやっぱりあったりする、

    それは死んだらいいなとは思わないですけど、なんかそこはちょっとつながりを感じたりするんですよね。そういうのに近いかなと思うんですね。

    中 そうですね。やっぱり、まったく何もないところから、他者ではあるんですけど、前提としてやっぱり全員が他者ではあるんですけど、その他者も自分と何かつながるところがあると、共感する糸口があるんだと思うんです。


  • 最初から読む
  • 2章へ


  • (申込み・問い合わせ先)
    東播磨カウンセリング研究会 (岸本秀子方)
    e-mail  higashiharimac@gmail.com


       

    受講者の声

    教材

    世話人