10章 感性を磨く


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  • 東播磨カウンセリング研究会総会対談 2018.4.29
    「福祉の事例をこころと演技から理解する」

    劇作家・演出家     中原和樹
    東播磨カウンセリング研究会会長・心理カウンセラー いなまつゆか

    心理カウンセラーのいなまつゆかが、役者をしている娘を通じて知り合った、劇作家・演出家の中原和樹さんと対談をしました。

    中原さんは、箱庭療法に興味を持ってくださり、それを知ったいなまつが、東京に中原さんのワークショップを見学に行きました。その感性のすばらしさにうたれ、対談を希望したことから始まった企画です。



    い じゃあ、劇作家としての中原さんと、その後の演出家の中原さんは、

    中 あ、そうですね。

    い またやっぱり、ちょっと違うんですね。

    中 違いますね。

    い ふーん。そうなんですね。

    中 かなりそうですね。

    い やっぱり、やってる方の人生もかぶってくるのがおもしろいですね。

    中 そうですね。

    い それはその、カウンセラーも自分の人生がかぶる、

    中 うん

    い カウンセラーがどういう生き方をしてるかって、すごく影響するんですね。同じ方でも、誰が聴くのか、同じような返し方をしたとしても、それこそ、カウンセラーにも後ろがあるから、やっぱり、それが影響するんですね。

    共感するっていうのは、本当に演技に近くって

    中 ふーん

    い 私がクライエント(相談者)さんじゃないのは、重々わかってるんですけども、その気持ちを一緒に感じているときは、「わたしたち」に近いんですね。それは演技とすごい近い感じだと思うんですけど。

    中 そうですね。

    い 私、「あなた」ってカウンセリングのときにまず使わなくって、「こちらとしては、こうこうですよね」っていう、やっぱり寄り添ってるので、観ている風景が一緒だから、

    「あなたはこうですね」っていうのはまずなくて、お名前を言うことはないことはないんですけど、「あなたは」っていう風に対面することはまずないんですね。それって、演技にすごく近くて、

    中 ああ、そうかもしれないですね。

    い 違う人間なんだけど、その気持ちを共有するというところが、ブラックホールというか、わかるわけないんでね。本当にはわかりっこないんですけど、

    そこに、違う人生なんだけど、寄ってきて、この場でおんなじ気持ちが漂ってるみたいな、感じてるのは違う人なんだけど、みたいなところがすごくよく似てる。

    中 そうですね。

    い ・・・これって、感性じゃないですか。

    中 感性なんですよね。

    い で、私東京にワークショップに行かせていただいて、

    中 はい。

    い 皆さんがいろんなことをなさるときに、(中原さんが)見えないものが見えてるなと思ったんですね。「あなたは、今全然こころが動いてないでしょ」みたいなことを言ったりとか、

    それが言われると私も「確かに、この方今こころが全然動いてなくて、カチッと固まってる感じだなあ」っていうのが、言われるとわかるんですけど、言われないとあんまりわからなくって、すごい感性をお持ちなんだなと思ったのが、

    中 いやいや、ありがとうございます。

    い それが、ぜひぜひ対談したいと思った、1つのところなんです。ていうのは、どうやって?磨いてたんですか?天性のものなんですか?

    中 いや、どうなんですかね。わからないんですけど・・・僕は演出家というか、演劇をやり始めたのは大学生になってからなんですよね。それまでは、バスケとかばっかりしてたんですけど。

    バスケやって、いろんな、普通に過ごしてたんですけど、ただその、もともと、人と話すのが好きで、人を観察するのが好きで、

    い はあ。

    中 で、その人が何を考えているんだろう、みたいなことが好きだったっていうのはあるかもしれないんですけど。

    ただ、いらしてくださったワークショップを始めてから、僕も磨かれた部分もあって、演出家の目線、演出家の感性だけがすべてじゃないんで、

    い はい

    中 話し合ったり、フィードバックをしたときに、俳優からもフィードバックがあったときに、「あ、そうかそうか、でもそういう風に感じるよね、確かに言われてみれば」って、僕も発見することもありますし。

    い うん

    中 なんか、そこの磨き合いっていうのをずっとやってこれたってことが、僕にとって大きかったかもしれないですね。

    い それはこう、一方通行じゃないってことですね。

    中 そうですね。

    い やりとりがあるなかで磨かれる。

    中 そうですね。基本的には俳優がやってるのを僕が観て、フィードバックをして、

    い 「こうだったよ」とか。

    中 そうです。ただ本人たちが感じているものが真実なので、僕が観たものは本人のものなんで。

    い こうなんだろうと感じますよね。

    中 そうですね。

    い 「こう思ったでしょう」って、たとえば言う。でも、それが本当かどうかは御本人が返してくる。

    中 そうです。返してきて、ただ、それも本人が感じてると思いこんでいるものもあったり、僕からすると、そういうのがあって、本人がそう思いたくなってしまっている。ちょっと何かから逃げたくなっている瞬間とか。

    それはまた、そこに対して、そう思ってると感じているものは、もしかしたら、こうかもしれないっていうこともある。断定はしませんよ、僕も本人も多分わからないとこにあるんで、

    断定はしないんですけど、そういう、探していく旅というか、一緒に、自分自身だったり、人間を探していく旅ってものを、一緒に討論しながらやっていくってことが、

    い うん

    中 まあ、多分磨き合いになったり、多分僕は感性を磨かせてもらっている、1個のおっきいものかなと思います。




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    東播磨カウンセリング研究会 (岸本秀子方)
    e-mail  higashiharimac@gmail.com


       

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