14章(最終章) 場の真実を創り出す


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  • 東播磨カウンセリング研究会総会対談 2018.4.29
    「福祉の事例をこころと演技から理解する」

    劇作家・演出家     中原和樹
    東播磨カウンセリング研究会会長・心理カウンセラー いなまつゆか

    心理カウンセラーのいなまつゆかが、役者をしている娘を通じて知り合った、劇作家・演出家の中原和樹さんと対談をしました。

    中原さんは、箱庭療法に興味を持ってくださり、それを知ったいなまつが、東京に中原さんのワークショップを見学に行きました。その感性のすばらしさにうたれ、対談を希望したことから始まった企画です。



    い 私も、そういうときがあって、「それは違いますよ」とか「正直じゃないですよ」とか言わないもんですからね。ダメ出しはないんですけどね。

    これもあるかもしれないですね。言えることと言えないこと。止めて聴けるときと、やっぱり聴けないときと。

    中 ああ

    い それは、なんでかはちょっとわからないんですけど、どのタイミングかって、

    中 いやあ、わからないですね。

    いなんか。

    中 いあ、僕もたまに聞かれたりするんですよ。若い演出やりたい子とか、別ジャンルの人とかに聞かれたこともあるんですけど、「どのタイミングで止めるんですか」とか。「いや、わかんないですね」としか、言いようがないんですね。

    ほんとに止めなきゃっていう衝動とかでしかなくて、全然理論立てられなくて。

    い 理論立てられないんですね。ロールプレイっていって、カウンセリングを模擬で練習やったりするんですけどね、そういうときも、やっぱりそうなんですよね。止めたり、流したりしますね。

    実際のカウンセリングのときもそうなんですけど、ここもうちょっと聴いた方がいいかなって思いながら、いかないで次にいくときと、やっぱり聴くときと、その判断も、やっぱりロールプレイだから、伝えていく必要があるんですけど、

    たとえば、私がロールプレイやってて、意識的ではあるんですね。「ここ切りましたね」って言われて、「切りました?」ていうことはないんです。

    これ、なかなか経験がないと、自分で言っているのに、ロールプレイで、逐語録っていって、脚本みたいに録音したのを後から言葉を書き起こしたのを聴くことがあるんですけど、「なぜ、こう言ったの?」って聴くと、「言ったんですね」って言う人もあるんですね。意識的じゃない。

    (笑)

    それは、さすがにあまりなくて、わりと意識的に聴いているんですけど、じゃあ、ここでなんでこれを言ったのかって言うと、理由は言えるんだけど、言葉、意識では、でもそうじゃない、何かもきっとあるような気がして、そこは、

    中 あ、そうですね。

    い そこは、なんか、「なんででしょう?」っていう(笑)。何者かに言われているような。

    中 ああ、そうですね。

    い 不思議な感じ。これをどうやって、伝えていったらいいんだろう、と思うんですけどね。ノウハウとしてお伝えできたらいいんですけど。

    中 そうですね。僕がやっぱり言うのは、そこの場に起きている人たちの、場の真実にどう反応したかでしかないっていう話をするんですけど、

    い ああ

    中 その場にいる人たちが、1個嘘をついたり、正直じゃなくなった瞬間に、場の真実がさがるというか、こぼれてしまったり、

    い うんうん。破綻する。

    中 そうですね。破綻した瞬間は止めますし。

    い ああ。

    中 破綻ギリギリしないで、もう1回真実が重なることもあるので、その場合は止めなかったりするんですけど。

    い もうギリギリですね、でもね。

    中 ギリギリですね。ほんとに。ああ、破綻した、でも破綻しないかも、ああっていう、迷いもやっぱりありますし。

    い 迷うときは、そのときでも、やったりやらなかったりなんですか?

    中 ありますね。止めなかったり、止めたり。

    い ・・・エンカウンターグループっていうのがあって、

    中 はい。

    い こう、車座になって、ファシリテーター(促進役)が流れをみながら、みんなが自由になるようにやるときがあるんですね。だから、そのときはグループなんですよね。

    どなたかがお話しになる、で、それを受けて、たとえば入るのかとか、みんなが黙ってる、そのときに自分が話すのかどうか、というときにそれも真実がこぼれて、破綻してくると、「ちょっと休憩入れましょうか」とか。

    中 それ、すごいわかります。

    い うん、なんかそういうちょっと、仕切り直ししたりするんですね。そうやって、まず真実の場を多分創り上げていく作業を、ファシリテーターという仕事は、促進役っていうんですが、それを担っているんだなっていうのが、すごくわかりましたね。

    本当じゃないと、なんか違和感が出てくるんですよね。

    中 そうそうそうですね。建て前になったり、なあなあになってしまったりとか。

    い エンカウンターグループならではの言葉みたいなのがあって、「私言ってもいいですか?」とか、そう決まりごとのように言っちゃうんですけど、

    中 うん

    い それっていうことは、相手が「今ちょっと言わないで」って言う自由がある言葉なんですけど、なんか前置きみたいに言ってくる、そのとき、言葉がすべるじゃないけど、

    中 うんうん

    い その前置きが嘘な感じになると、私の中で、ザワザワザワってなって、「今ちょっと待って、本当に思ってないんじゃない?」ってなると、なんかちょっと、うーん、「はい」って言えない

    中 笑

    い それこそ、ファシリテーターは「聴いてもらっていいですか?」って言われたら、普通「うん」って言うんですけど、・・・さっきの「はい」じゃないけど、「うーん」ってなるんですね。

    そこの、私の正直さも大事にする必要があって、そこでどう動いていくのかっていうことですよね。そのさっきおっしゃった、真実かどうかっていうのが、

    私たちでいうと、正直であるっていうことだと思うんですけど、そういう場を創るってことが、カウンセリングにしても、エンカウンターグループにしても、多分演劇の場面にしても、そこはすごく大事にして、そのために安全な空間を創る。

    中 そうですね。

    い そのなかで、やっと今日のような方の気持ちに寄っていくんでしょうね。・・なんか、もう飲みながら一晩話したいぐらいの気持ちに今なっているんですけど。残念なことに、そろそろ時間になってきてるんですが。

    中 そうですね。


    い じゃあ、まあ、今日は演技の側から、心理の側から、そして福祉の事例という、結構いろんなジャンルをミックスして、やってきたんですけど、こうやって、つきつめて考えていったら、大事なところっていうのは、共通してるんだなって思いましたね。

    福祉でも多分、アプローチは違うと思うんですけど、やっぱり真実のところがないと、利用者さんが、「あの人嫌やわ」みたいな風に言われちゃうんかなあ、なんてことも想像したりして、

    それはもう、カウンセラーなんか、みごとに次来られませんからね。得意になった鼻なんかポキポキ折れてしまいますので、そこで、もう1回私は立て直すんですが、

    だからいい気になれない仕事なんですが、河合隼雄先生クラスでそうらしいので、それはしょうがないですけど、でも、その厳しいなかで、多分、なんか見つける旅が、それがたまらなくしあわせなのかなと思います。

    中 そうですね。

    い すっごくつらいんですけどね。やっていくのかなと思いました。

    中 そうですね。

    い 今日はどうもありがとうございました。

    中 ありがとうございました。


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    東播磨カウンセリング研究会 (岸本秀子方)
    e-mail  higashiharimac@gmail.com


       

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